1997年、余命３カ月と告げられた父のために、私は最先端の治療法・延命法を探していました。しかし、効果的な治療法や治療薬は見つけられず、父は21世紀に足を踏み入れることなく息を引き取りました。「肺がん」でした。

新薬は、患者さんの命を救い、その家族に笑顔をとどけます。
しかし、時間はすべての人々に平等に刻まれていきます。「がん」を患う人、その人生に寄り添い、支えつづける家族。それぞれが不安や悩みを抱えて、今日を生きています。そして、彼らの気持ちを、私は痛いほど知っています。病による悲しみ、死による悲しみを減らしたい。もっと臨床試験を短くする方法はないのか？

創薬のモダリティが多様化し、さらにDXが創薬に革命を起こしつつある、一方で、日本は抗体薬・細胞治療薬を始めとするバイオ医薬品分野で 後塵を拝しています。
現実的に“ドラッグ・ラグの処方箋”を見つけ出し、最終的に“新薬”を患者さまに一秒でも早く届けるには、研究資金を効率的に回収できる“エコシステム”が必要不可欠です。それ故、2050年には40兆円市場と予測されている中国医薬品市場は、地理的に近く今後の鍵を握る巨大市場の一つであり、共創のパートナーとなり得ます。また、日本と中国のメガファーマが資本・技術提携する動きも出てきています。

私たちは患者さんの命に直結する新薬開発の『時間便益』を最重要視して、First In Classの創薬ステージに資金循環型エコシステムをインソールすることで国境も超えた協働の機会からUnmet･Medical･Needsを満たす革新的かつ連続的な新薬を共創することをめざしています。時間と共に陳腐化されていく技術革新。技術と時間を買うことでもたらされる共創価値が未来を切り拓いていきます。

私たちの新しい取り組みが、現在の日本が直面する“ドラッグ・ラグ”の処方箋の端緒となれば幸いです。